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契約業務効率化

契約書レビュー時に役に立つ「契約類型」の基礎知識

2021.03.16

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CHECK POINT

契約類型をよく知っておくことで契約で気をつけるべきポイントが見えてきます。契約書チェックを行う上ではとても役に立つ知識ですので、ぜひ理解しておきましょう。

このページでは、契約書を作成するときやチェックをするときに、知っておいた方がよい「契約類型」の種類や内容について解説しています。

「契約類型」とは何ですか?

民法の債権法の中には、比較的よく交わされる契約の類型として13種類が規定されています。これらの契約を、民法典に記載されている型の契約という意味で、「典型契約」と呼びます。 しかしながら、契約は原則として自由であり、公序良俗や強行法規に反しない限り当事者間で自由にその内容が決められますので、典型契約以外の契約については、非典型契約と呼ばれます。非典型契約については、当てはまる規定が民法典にない場合も多いために、問題となった場合は、実務的には類似した典型契約を探し、民法の規定を活用する場合も多くあります。

13種類の契約類型「典型契約」とは

次のような分類になります。

1.贈与

契約当事者の一方が無償で財産を第三者・相手方に譲り渡す契約です。

2.売買

契約当事者の一方が買う、売るという合意により、有償で所有権を相手方に移転する契約です。

3.交換

物々交換で、契約当事者がお互いに金銭以外の財産権を移転する契約です。比較的土地の交換でよく交わされます。

4.消費貸借

契約当事者の一方が相手方から何かを借り、それを消費した上で、同額や別の同等のもので返す契約です。キャッシングなどのお金の貸し借りは、概ねこの契約です。以前は、要物契約(実際にお金を引き渡すことが必要)でしたが、今は書面ですればお金を引き渡す前にも成立します。

5.使用貸借

契約当事者の一方が相手方から無償で何かを借り、それを使用した後に相手方に返す契約です。こちらは要物契約から、申込みと承諾という合意のみで成立する諾成契約となりました。

6.賃貸借

契約当事者の一方が相手方に有料で何かを借りる契約です。DVD、賃貸マンションやレンタカーなどが該当します。

7.雇用

一般的な社員に関する契約です。契約当事者の一方が働き、相手方がその労働に対して報酬を支払う契約です。あくまで報酬を支払うほうが雇用主となり、指揮命令権を持ちます。

8.請負

契約当事者が仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約です。

9.委任・準委任

契約当事者の一方が相手方に法律行為をすることを委託し、相手方がこれを承諾する契約です。準委任は法律以外の行為の場合になります。

10.寄託

契約当事者が相手方のために物を預かって保管する契約です。倉庫業、コインロッカーや銀行へのお金の預け入れなどです。

11.組合

組合員全員で組合を作る契約です。複数の人が共同出資をしてある事業を営むときの契約です。

12.終身定期金

いわゆる年金制度などです。当事者の一方が、自分、相手方または第三者が死亡するまで、定期的に金銭や物を相手方または第三者に給付する契約です。

13.和解

契約当事者がお互いに譲歩をして、紛争を解決する契約です。世の中では大事な契約です。

それでは、ここからはビジネスで交わされることの多い契約類型について解説していきます。

ビジネスで多く交わされる「契約類型」について

  1. 秘密保持契約書
  2. 売買契約書
  3. 請負・業務委託契約書
  4. 販売店・代理店契約書
  5. ライセンス契約書
  6. 派遣契約書
  7. 保証契約書
  8. 雇用等契約書
  9. 賃貸借契約
  10. 派遣契約書

各契約類型について概要を解説していきます。

秘密保持契約書

「秘密保持契約」とは、新たに取引関係等に入る企業同士が、保有している企業秘密を、相手方当事者に公開する際に、当該企業秘密を維持するよう誓約させる契約です。一般的に、Non-Disclosure Agreementの頭文字をとって、「NDA」と呼ばれることが多いです。

秘密保持契約書

一方当事者(開示当事者)が、主として秘密情報を開示し、開示を受ける当事者(受領当事者)が、当該開示された情報について、守秘を約束する契約です。自社が、企業秘密を「開示する側」であれば、「情報の出し手」、企業秘密を「受領する側」であれば「情報の受け手」という呼ばれ方をします。

相手方に、企業秘密を開示して進める契約交渉(業務提携に関する契約、ライセンス契約、共同研究・共同開発契約など)の前提として、秘密保持契約が締結されることが多いです。

秘密保持契約書(双方向)

当事者双方がお互いに、相手方に対して、自社が保有する企業秘密を開示しあい、また、当事者双方がお互いに、当該開示された情報について、守秘を約束する契約です。

自社が、相対的に、重要な企業秘密を「開示する」ことが多いと考える場合は、「情報の出し手」、企業秘密を「受領する」ことが多いと考えられる場合は「情報の受け手」という立場になります。

売買契約書

「売買契約」とは、ある商品を、代金を支払って購入する、という契約です。 「商品、製品として出来上がっているものを仕入れる」という内容が、最もイメージに近いかもしれません。 (なお、「製品を業者に作ってもらい、その作ってもらった製品を購入する」という内容の契約は、「製造業務委託契約」です。)

売買基本契約書

「売買基本契約」とは、仕入先との継続的な商品取引を行う際の共通のルールを定める基本契約です。 具体的な受発注は、注文書等(個別契約)を用いて行います。 「(継続的)取引基本契約」などといった呼ばれ方をすることも多いです。

売買個別持契約書

「売買個別契約」とは、1回の商品取引のための売買契約書です。 個別具体的な注文内容(目的物、価格、数量、引渡し時期等)について定められることが多いです。

不動産売買契約書

「不動産売買契約」とは、土地、建物、またはその両方に関する売買契約です。 一般の売買契約と異なり、宅地建物取引業法に関連する規定、売買代金の支払方法についての規定(手付金や、住宅ローン等に関する規定)、また、不動産の所有権移転登記の手続等についての規定が盛り込まれていることが多いです。

請負・業務委託契約書

「業務委託契約」とは、雇用関係のない相手に、一定の業務を依頼する契約です。 イメージとしては、会社の本業ではない業務を、他社に外注する際に、よく用いられる契約形態です。 成果物の完成(完成された製品の納品)を目的としているか(請負型)、依頼した業務の遂行を目的としているか(準委任型)という観点で、大きく区別されて説明されることが多いです。 また、例えば「システム開発契約」、「建築工事請負契約」など、「どのような内容の業務を依頼するか」という観点からも、細分化されます。

業務委託契約書(請負型)

「業務委託契約(請負型)」は、仕事の完成を目的とした業務委託です。 例えば、家具や芸術品、動画作成等、依頼者の要望に基づいた1つの作品、製品を、完成品という形で作ってもらう契約、というイメージです。イラスト作成業務、ウェブサイト作成業務、衣服縫製業務(和服やウェディングドレスの仕立て等)など。 こちらは、広く、一般的な請負契約という観点で契約書をチェックするとよいでしょう。また、請負契約の中でも、具体的な業務内容に応じて、「システム開発委託契約」(プログラムの作成)、「建築工事請負契約」(建物の建築に関する契約)等、より適切な類型がある場合には、以下の当該類型解説も確認してください。

業務委託契約書(準委任型)

「業務委託契約(準委任型)」は、仕事の完成に対する報酬ではなく、一定の業務に対して報酬が支払われる業務委託です。(例)顧問契約、保守契約など

システム開発委託契約書

システム開発を委託する場合の受託契約です。

共同開発契約書

共同開発を行う場合の両当事者の権利関係を定める契約です。

製造業務委託契約書

「製造業務委託契約」は、一定の製品の製造を委託する業務委託契約です。通常は、当該製造された製品を、依頼主が継続的に仕入れるところまで規定されている場合が多いです。

OEM契約書

「OEM契約」とは、販売元の商標を付した製品の製造を委託する業務委託契約です。自社のブランド製品を販売したい企業が、製造能力がある他社に対し、当該ブランド製品の開発・製造を委託し、製造された当該ブランド商品の供給を受ける、という内容の契約です。

建築工事請負契約書

「建築工事請負契約」は、請負契約の中でも、建物の建築に関する業務委託契約です。請負人は、建物の完成まで、契約上の責任を負います。

物流委託契約書

「物流委託契約」とは、生産された製品を生産所から取寄せ、保管し、買主から注文を受けた際には、梱包し、買主の手元まで輸送するといった内容を規定した、「物流」に関する契約です。

保守契約書

「保守契約」とは製品のメンテナンス業務に関する契約です。 例えば、自動車や機械、ソフトウェアのメンテナンスなどを定めるものです。

販売店・代理店契約書

「代理店契約」とは、原則として、代理店となった者が、供給者の代理人として、商品の販売促進、販売を行います。そして、売上げに応じて、代理店は、供給者からコミッション(手数料)を受領する、という契約です。「販売店契約」とは、原則として、販売店が、供給者から商品を仕入れたうえで、独自に販売促進、販売を行い、仕入れ値と販売店による実際の売値との差額を、販売店の利益とする、という契約です。

独占的販売代理店契約書

「販売店契約」とは、原則として、販売店が、供給者から商品を仕入れたうえで、独自に販売促進、販売を行い、仕入れ値と販売店による実際の売値との差額を、販売店の利益とする、という契約です。独占的というのは、一定の地域内での総代理店、つまり、同商品についての他の代理店、販売店が指定されない場合です。

非独占的販売代理店契約書

こちらも同じく「販売店契約」とは、原則として、販売店が、供給者から商品を仕入れたうえで、独自に販売促進、販売を行い、仕入れ値と販売店による実際の売値との差額を、販売店の利益とする、という契約です。非独占的というのは、同一地域内で、他の代理店、販売店の指定もあり得るという意味です。

独占的販売代理店契約書(取次)

「代理店契約」とは、原則として、代理店となった者が、供給者の代理人として、商品の販売促進、販売を行います。そして、売上げに応じて、代理店は、供給者からコミッション(手数料)を受領する、という契約です。独占的というのは、一定の地域内での総代理店、つまり、同商品についての他の代理店、販売店が指定されない場合です。

非独占的販売代理店契約書(取次)

「代理店契約」とは、原則として、代理店となった者が、供給者の代理人として、商品の販売促進、販売を行います。そして、売上げに応じて、代理店は、供給者からコミッション(手数料)を受領する、という契約です。非独占的というのは、同一地域内で、他の代理店、販売店の指定もあり得るという意味です。販売提携契約はこの類型が最も近いです。

ライセンス契約書

「ソフトウェアライセンス契約」とは、ソフトウェアの権利者(著作権者)に対価を支払って、当該ソフトウェアを使用させてもらう、という契約です。 基本的には、会計ソフト、コンピュータウィルス対策ソフトのように、当該ソフトウェアが保存された記録媒体を購入したり、インターネット上で当該ソフトウェアを購入してダウンロードしたりするなどして、使用を開始する場合など、売買契約に近い内容も多く含まれています。

商標ライセンス契約書

商標ライセンスとは、商標の権利者に対価を支払い、商標を使用させてもらうという契約です。キャラクターを文房具等に付す場合などに用いられます。

特許ライセンス契約書

特許ライセンスとは、特許の権利者に対価を支払い、特許を使用させてもらうという契約です。関連するノウハウ等についても同時に使用許諾する場合も多いです。

ソフトウェアライセンス契約書

「ソフトウェアライセンス契約」とは、ソフトウェアの権利者(著作権者)に対価を支払って、当該ソフトウェアを使用させてもらう、という契約です。

賃貸借契約

賃貸借契約書

オフィスや居室の普通賃貸借契約です。

定期賃貸借契約書

オフィスや居室の定期賃貸借です。定期賃貸借の場合には、契約書のタイトルも定期賃貸借と明記されているのが通常です。

派遣契約書

派遣の基本条件を定める派遣基本契約です。個々の派遣労働者の派遣については、派遣個別契約で定められます。

保証契約書

「保証契約」とは、金銭の支払義務を負う者(「主債務者」といいます。)が、当該支払いを行わなかった場合に、保証人が主債務者に代わって当該支払いを行う旨の約束を、当該金銭の支払いを受ける方(「債権者」といいます。)との間で交わす契約です。保証契約の締結に際しては、以下の2点にご注意ください。

  1. 保証契約は、「書面」でしなければ、その効力を生じない(民法446条2項)とされていますので、書面を取り交わす必要があります。
  2. 保証形態にご注意ください。「(単なる)保証人」なのか、「連帯保証人」なのか、によって、責任が異なります(連帯保証人の方が重い責任が課せられます)。

雇用契約書

「雇用契約」とは、就職の際に労働者(個人)と雇い主(会社など)との間で交わされる契約です。労働者が、「雇い主の指揮命令に従って、労働に従事する」という点で、業務委託契約と異なります。一般的に、雇い主と比べて労働者の方が弱い立場にあるため、労働者にとって不利な契約内容とならないよう、「労働法」(労働基準法、男女雇用機会均等法、最低賃金法など)の適用に留意する必要があります。なお、労働者には、正社員のみならず、派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトなども含まれます。

まとめ

典型契約における契約類型をよく知っておくことで、ビジネス上の契約で気をつけるべきポイントが見えてきます。契約書チェックを行う上ではとても役に立つ知識ですので、ぜひ理解しておきましょう。


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