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安全運転管理者による、アルコールチェックの義務化

2023.03.15

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CHECK POINT

2023年(令和5年)4月1日施行の民法の改正について解説いたします。

2021年道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者の業務が追加されました。
皆様の中には、営業車や社用車として自動車を5台以上(乗車定員11人以上の自動車を1台以上)所有し、安全運転管理義務者を設置する義務を負う企業の方も多いと思います。
そして、今回の道路交通法施行規則の改正は、安全運転管理義務者を設置するすべての企業に適用され、多くの皆様に関係するトピックであると思いますので、今回はこのテーマを取り上げたいと思います。

1.概要

道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者が行うべき業務として、以下のものが追加されることになりました。

(1) 酒気帯びの有無の確認及び記録の保存(同施行規則第9条の10第6号及び7号)
  ・運転者の酒気帯びの有無の確認を目視等により行うこと
  ・その内容を記録して1年間保存すること

(2)アルコール検知器の使用等(同号)
  ・アルコール検知器を用いた酒気帯び確認を行うこと
  ・その内容を記録して1年間保存すること
  ・アルコール検知器を常時有効に保持すること

以上のうち、(1)については、すでに2022年4月1日から施行済みです。一方で、(2)については、2022年10月1日施行予定でしたが、半導体不足の影響等でアルコール検知器が十分に市場に流通していない状況を踏まえ施行が延期されており、現在までのところ施行時期の見通しは立っていません。
しかし、改正規則はすでに公布されており、今後、アルコール検知器の需給状況が改善した段階で適用されることとなるため、対象となる事業者は準備が必要です。

2.対象となる事業者(事業所)について

今回の改正の対象となる事業者は、安全運転管理者を設置している事業者です。
そして、安全運転管理者は、以下の条件を満たす事業所等自動車の使用の本拠ごとに、設置される必要があります。(法第74条の3第1項、同施行規則第9条の8第1項)。

 ・乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用する事業所等
 ・乗車定員10人以下の自動車を5台以上使用する事業所等

(※台数の計算において、大型自動二輪車又は普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算します。)
なお、ここにいう自動車とは、自動車運送事業等で使用する自動車、いわゆる緑ナンバー以外の自動車を指します(法第74条の3第1項)。
そのため、営業車や社用車といった、いわゆる白ナンバーと呼ばれる業務使用の自家用自動車にもアルコールチェック義務が課されることになるため、留意が必要です。

3.酒気帯びの有無の確認について

酒気帯びの有無については、対面で実施することが原則であるとされています。
しかし、現実には、社員が直行直帰するなど、対面での確認が困難な場合もあることと思います。
そして、そのような場合には、対面での確認に準ずる方法で実施すれば良いとされています。
警察庁の通達には、以下の確認方法が具体例として示されています。

①カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
②携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

4.使用すべきアルコール検知器について

新たに安全運転管理者が行うべき業務として、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認が加わりましたが、この義務を果たしたといえるためには、法令で求められる機能を有するアルコール検知器を使用する必要があります。
そして、法令で求められる機能を有するアルコール検知器とは、呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものであれば足り(法施行規則第9条の10第6号、国家公安委員会告示第63号)、技術基準や仕様など特段の性能上の要件は問わないとされています。
また、一定濃度以上のアルコールが呼気から検知された場合にエンジンが始動できないようになるアルコール・インターロック装置も、アルコール検知器に含まれます。

5.まとめ

今回取り上げたテーマは、社用車や営業車を多数所有する企業様にとっては、関係が深いテーマになります。
施行が延期されているアルコール検知器を用いた検査についても、いつ施行されてもおかしくありませんので、ぜひ確認していただければと思います。


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