法務サポートコラム

民法改正・解除の要件の見直しがされます その1

2020年02月14日配信

今回は、民放改正の「解除」について解説します。

 

そもそも「解除」とは何でしょう。
「解除」とは当事者の一方的な意思表示によって契約の効力を無くさせるもので、解除によって契約が最初から締結されなかったとみることになります。

ここで「一方的な意思表示」としていますが、例えば、契約を締結した後に何か不都合があった場合に、両当事者で話し合って「それじゃ契約を解消させよう。条件はこうしよう」などと(円満に)契約関係を終了させることもあるかと思いますが、それは、ここでいう「一方的な意思表示」による契約の解除ではなく、合意により契約を終了させるものなので、「合意解約」などと呼ばれます。

 

つまり、何か不都合があって、契約当事者のAさんは契約を終わらせたがっていて、だけど一方のBさんは契約を続けたがっている場合に、Bさんが了承しなくとも、Aさんが一方的に契約の効力を無くさせることができるのが、「解除」となります。

 

 

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契約の解除によって、双方とも契約に基づく義務を負わなくなります。
売買契約の解除をした場合であれば、売主はそれまで負っていた目的物を引き渡す義務を負わなくなるし、買主はそれまで負っていた代金を支払う義務を負わなくなります。
ただし、解除までに代金が支払われていた場合とか、解除までに目的物が引き渡されていた場合には、それぞれ代金や目的物を返す必要があるのは当然で、契約に基づいて既に動き始めていた場合には、それの後処理に関係する義務を別途負います。
売買契約の例であれば、元売主は支払われた代金を元買主に返還する義務を負い、元買主は引き渡された目的物を元売主に返還する義務を負います。これらを「原状回復義務」といいます。

以上が「解除」のあらましですが、今般の民法改正において、この解除の要件の見直しがされます。

 

1 債務者に帰責事由がない場合であっても解除が可能に

解除というのは、①債務不履行(契約上の義務が果たされていない場合)があって、②その債務不履行について債務者に帰責事由がある場合でなければすることができない、というのがこれまでの伝統的な考え方で、改正前の民法でもそのように取り扱われていました。帰責性があるというのは、何らかの落ち度(過失)があるという意味です。
確かに、契約の解除というのは、一方当事者による一方的な意思表示による契約関係の否定ですから、契約を続けたいと考える他方当事者にとっては避けたい不利益な事態であって、そのような他方当事者の利益状況にもかかわらず一方的な解除ができるためには帰責事由が必要ということなのかもしれません。

 

ただ、債務不履行があった場合で債務者に帰責事由がなければ解除できないとすると、債権者においては、契約を締結した目的が達成されないにもかかわらず、契約に拘束され続けてしまうということになります。

例えば、買主A社は売主B社からパソコンを購入する契約を締結したのですが、B社の工場が落雷による火災(B社に帰責事由のない火災)に遭い、工場の復旧の見込みも立たず、納期を過ぎでもパソコンが納入されません。A社としては、パソコンが納入されないと事業に支障が生じるから、別の業者のC社からパソコンを購入したいと思っていますが、B社とC社と二重にパソコンを購入するわけにいかないから、B社との売買契約を解除しておきたい。

 

この場合、B社は納期までにパソコンを納入することができていないので債務不履行の状態にあります。ただ、B社に帰責事由のない火災が原因ですので、B社の債務不履行には帰責事由がないということになり、改正前の民法ではA社はB社との売買契約を解除することはできません(そのような場合に備えて、「債務者に帰責事由があるかどうかにかかわらず、債務不履行があれば債権者は契約の解除をすることができる」という特約を結んでおくことは可能でしたが、そのような特約を結んでいない場合には、やはり解除はできません。)。そうすると、A社としては、C社からパソコンを購入して納品もされた後であっても、B社がパソコンを納品してきたら代金を支払わなくてはなりませんので、B社が債務を履行する目途が立たない状況であっても、別の取引先との間で必要な契約をするなどの対応をとることに躊躇してしまいます。

 

そこで、改正後の民法では、債務不履行について債務者に帰責事由がない場合にも、債権者は契約を解除することができることになりました。これにより、パソコン納入という債務の履行を受けることができないA社は、B社に帰責事由がない場合であっても、B社との契約を解除して、別の業者であるC社との間でパソコン購入の契約をすることができます。

 

ただし、債務不履行について債権者に帰責事由がある場合には契約の解除をすることができません。上の事例でいうと、買主であるA社の妨害によって、売主であるB社がA社にパソコンを納入することができなくなったというような場合には、買主であるA社は、B社との契約を解除することはできません。

 

次回に続きます。

 

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