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契約業務効率化

契約書チェックをAIで効率化する方法

2020.08.19

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CHECK POINT

まずは契約書でチェックすべきポイントについて把握した上で、AI活用によって契約書レビュー作業を効率化しましょう

こちらでは契約書チェックで大切にするべきポイントと、新たに登場してきた技術、AIにより契約書チェックの作業を効率化する方法についてご紹介していきます。契約書チェックは、法務担当者の重要な業務の一つです。だからといって、一つひとつチェックに時間をかけすぎてしまうと逆に事業運営の妨げになってしまいかねません。質を維持しつつ、どれだけスムーズに対応していけるかが重要になります。最初に、契約書チェックの一般的な考え方やポイントをおまとめし、契約書チェックをAIで効率化できるポイントについては後半で解説しています。

契約書チェックをAIで効率化する方法とは

契約書チェック業務の中でAIが活躍できる領域とは、法務部員のスキルレベルがバラバラであるときに、自社ノウハウの共有などでもリーガルテックが活躍します。画一的な作業を効率化し人しかできない高度な判断のところにマンパワーを集約していくことが効率化の要です。

契約書チェックにAIを活用して効率化するときの基本的な流れ

  1. まず契約目的を丁寧に理解します
  2. AIツールなどを使って過去契約書や契約書類型ベースの一般的なリスクなどのチェックを済まします
  3. その契約の特殊性から考えられるリスクを想定しつつ修正条項案を作ります
  4. 法的リスクだけでなく、コンプライアンスやレピュテーションリスクにも配慮します
  5. 担当者とは実情が把握できるように良いコミュニケーションをとっておくとスムーズに業務が進められます

以上のような手順が、AIにより契約書チェックを効率化する際のフローイメージです。

さて、まずは契約書チェックするべきポイントについて解説しつつ、どのようにAIによって契約書チェックを効率化していくのかについてご紹介します。

契約書チェックの質を維持しながら効率化するためのポイントとは?

契約書チェックの品質を維持しながらも、素早く対応していくためにはまず契約書をレビューする目的や理由を整理しておく必要があります。

そもそも契約書チェックをするべき目的や理由とは?

法務担当者にとって言わずもがなかもしれませんが、今回新たに民法の一部を改正する法律(債権関係)(平成29年法律第44号)施行後の民法には「契約」の定義規定ができました。まずは、契約書レビューやチェックの意義について整理し契約書チェックをするときの重要なポイントをご紹介いたします。

契約とは

改正民法によれば、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」(新民522 1)と規定されています。

そして、いわゆる契約自由の原則についても規定されました。

契約自由の原則とは

「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる」(新民521 1)と規定されています。

また、契約内容の自由も認められています。

契約内容の自由とは

「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる」(新民521 2)と規定されています。

契約形式の自由とは

「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」(新民522 2)と規定されています。

これらをまとめて解釈すると、「契約とは、契約内容の自由や形式の自由が認められているため、その都度内容を一つひときちんと審査していかなければならない」のです。さもなければ、自由に決められた契約でも一度締結してしまえば、契約当事者が自らの自由な意思で契約を締結したこと、契約の相手方の信頼を裏切ってはいけないこと、から契約当事者を拘束します。そして

そのように締結した契約条項を守らなければ、最終的には裁判所の判決によって契約内容に従うことを強制され得るのが法治国家である日本の原則です。

(契約に関する基本原則についてご詳細をご確認されたい方はこちらへ)

さきほどご紹介した、契約に関する基本原則については法務省民事局が発行している「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」にも書かれていますのでよろしければこちらもご確認ください。 http://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf 「契約に関する基本原則の明記(p.52)」にて、契約自由の原則などが触れられています。

契約書に書かれていないことでも法的に解釈されてしまうことがある

契約書に書かれていないことであっても、意に反して「典型契約」の条文に従って意思解釈されることもあります。反対に、たとえ契約書にかかれていることであっても、強行法規(強制的に適用される法令。例えば労働基準法や下請法などの規定の多くは強行法規で、適用を免れることはできません。)や公序良俗に違反する事項を目的とする条項は無効です(民・新民90)。ここが法務担当者の役割の非常に大切なところになります。

(用語解説)

典型契約とは 民法その他の法律で規定されている契約を意味する。民法の規定する契約は,贈与,売買,交換,消費貸借,使用貸借,賃貸借,雇傭,請負,委任,寄託,組合,終身定期金,和解の 13種である。これに対して,法律上特に規定されていない契約を非典型契約 (無名契約) という。そのうち,典型契約類似の要素を含んだものは混合契約といわれる。契約自由の原則から見て,非典型契約も有効である。(出典 コトバンク「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」

まとめますと、いままでご紹介したとおり契約とは、

  • 契約するもしないも自分の意思。つまり自己責任。
  • 契約内容も自由。契約は自分に有利になるように書くことができる(例外もあります)。
  • 契約形式も自由。契約書でなくても、自由です。
  • 契約書に書かれていなくても「典型契約」の条文に従って意思解釈されることがある。

だから、チェックは正しく行っていく必要がございます。

では、実際に契約書をチェックするにあたって「軸」にするべきこととは何でしょうか。

契約書チェックの目的について

契約は、企業が事業を成長させていく上で必須な行為です。しかしながら、その契約を締結したことによってもしも企業が存続できないほどの損害を被ってしまったら、成長どころか倒産の危機に陥るという全くの逆効果をもたらしてしまいます。契約書チェックの目的とは、将来の紛争や危険の回避にあります。契約書を取り交わす際に、自社を守る条項を入れておくことで、将来の紛争を回避したり、万が一揉めた場合にも被る損害を大幅に軽減できたりする場合も多いのです。

つまり、法務担当者にとって契約書チェックという業務の目的は、事業の実情を踏まえて事業の未来のリスクを想定し、できるだけ減らすことが重要なミッションになるでしょう。

誰が契約書チェックを行うべきか

契約書チェックは企業にとって重要なミッションですので、これを扱うプロフェッショナルがいます。それが弁護士です。弁護士は、典型契約をはじめ判例や経験を踏まえて、その契約にふさわしいアドバイスをします。彼らの知見を使って、あいまいな条件、不利な条件などを排除、修正することによって、事業にとって重要な契約におけるリスクを減らせることができれば、企業としては将来に長きに渡ってプラスになります。しかしながら、当然、知識や経験が豊富な弁護士事務所にお願いすれば、価値相当のコストが必要となってきます。

契約書には定型的な種類(「秘密保持契約書」や「業務委託契約書」、「売買契約書」、「代理店契約書」、「雇用契約書」、「顧問契約書」、「賃貸契約書」、「工事請負契約書」など)があり、経験を積んだ法務担当者であれば、社外の弁護士よりも場合によっては、事業に即した適切な判断を下せるケースもでてくると思います。

リスクの大きさや状況によって、この契約は法務担当者でチェック、あの契約は企業法務に強く、得意の専門分野がある弁護士に依頼する、ということを現場として判断するというのも多いかと思います。また、今後の重要な取引を行う場合などを踏まえて、自社と親和性の高い弁護士と関係性を作っておくという意義は大きいと思います。そう考えると、契約書チェックにおいて、比較的相談しやすくいつでも相談できる弁護士を見つけて関係性を保っておくことはよいと思います。

契約書チェックすべき文書は契約書だけではない?

法務担当者がチェックすべき内容は、「契約書」だけではありません。合意がなされるものすべてといえます。これは「申込書だから全て法務チェックは必要ない」というような認識をしている営業担当者や別の部門の人がいては後々リスクとなりかねません。どのようなことはリーガルチェックをする、というルールを作り周知しておく必要があります。

契約をチェックすべき対象は「合意」するものすべてとなります。

  • 合意書、協定書、覚書、利用規約、申込書など

契約書チェックをするべき目的や理由、誰がチェックをすべきか、などについて簡単にまとめますと、

  • 契約内容は自由である、ゆえに契約一つひとつについてきちんと見ていく必要があること。
  • もし契約内容に不備やリスクがあれば、企業が大きな損害を被ってしまい存続の危機もあり得るということ。ゆえに想定するリスクを契約書から取り除いていく必要があること。

これらを担保するのが法務担当者の契約書チェックと言えます。

契約書チェックの手順とは

一般的に契約書チェックは以下のような手順で進められると思います。

  1. 契約書チェックを依頼されたら、その契約の目的を確認し、当該契約類型における一般的なリスクや問題点を洗い出す
  2. 一次チェックを終えた後、担当者に詳細のヒアリングを行い当該契約書の具体的内容を確認し、当該契約の実情や特殊性を理解する
  3. もう一度、今回の契約のリスクや問題点を抽出した後、調査検討し条文を修正する
  4. 交渉担当者に回答を伝える、もしくは先方担当者に提案を伝える
  5. 合意が得られたら、その権利義務が契約書に正確に記述されているかを確認し、調印へ

このように、チェック作業は担当者だけで行うのではなく、交渉担当者や相手先とも共同して作業を進めていきますので、チェック漏れや手戻りは避けたいものです。ではここから、契約書チェックにおける重要なポイントとチェック作業を効率化していく方法についてご紹介していきます。

契約書チェックするときの3つの重要なポイント

契約書をチェックする際のコツは、契約書の内容を、実情を勘案し丁寧に綿密に確認していくべき箇所(法務としての重要ポイント)と、実際の取引の流れと合致していれば問題ない箇所、裁判管轄など法務チェックが必要ではあるものの重要性は低い箇所を、見分けてチェックしていくことがポイントです。

1.契約書チェックを丁寧にするべき箇所とは

原則契約の内容は自由なので、契約書ごと書かれることも原則的には異なってきます。また、受け手と出し手によっても記述の仕方は異なってくるのが自然です。しかしながら、例えば、売買契約書であれば、一般的に、後に争いになった場合に重要になってくる条文は限られます。具体的には、まず、契約不適合責任の部分のところは、万が一不具合が見つかった場合に一番に見る条文ですので、慎重に検討する必要があります。損害賠償に関する規定や、違約金に関する規定、免責規定なども重要でしょう。場合によっては、納入遅延に関する規定も極めて重要になる場合もあります。これらの条文を確認するに際しては、事業に対する知見と、過去の契約書や法令知識を必要とされる箇所といえるでしょう。そしてチェックした後に合意に至るまでの修正案の作成にも時間がかかるところです。

2.実際の取引の流れと合致していれば問題ない箇所とは

例えば、同じ売買契約書でいうと、価格に関する条項、発注書や受注書に関する規定、納品手順に関する規定などです。これは、各企業や製品ごとにそれぞれ違ってきます。特に先方が作成した契約書をレビューするに際しては、自社の基準と見比べる作業は案外手間がかかるところです。しかしながら、作業自体は単純であることも多く、必ずしも法務部員でなくても対応できるところでもあります。

3.裁判管轄など法務チェックが必要ではあるものの重要性は低い箇所とは

例えば、いわゆる一般条項といわれる不可抗力に関する規定、管轄に関する規定、準拠法の規定などや、支払い遅延の損害金や相殺に関する規定が挙げられるかと思います。自社基準がある場合にはチェックして修正すれば済む場合も多いですが、これもある程度時間がかかる作業にはなります。

契約書チェックするときの基礎的なチェックリスト

契約書をチェックする際のもう一つのコツとして、読みやすく誰もが同じ意味で解釈できるようにドキュメントとしての品質をあげておくことは重要です。

1.契約書のタイトルと表題をきちんと読む、直す

契約書のタイトルや表題の部分は実は大切です。まずは、何よりこの部分をきちん確認したり修正することで、重要な部分を見落としづらくなります。

2.文言のチェック

契約書とは、紛争の予防を目的としていますので、したがって契約書にかかれた内容がどのように解釈されるのかはとても重要です。それら解釈を行うのは裁判所になるわけですが、法令で用いる言葉の選択方法(「法制執務」といいます)を参照しながら、チェックします。

「とき」と「時」

「とき」とは仮定的な条件を定める場合に〇〇という場合という意味、「時」は時点です。

「とき」と「場合」

「とき」とは仮定的な条件を定める場合に〇〇という場合という意味で同じですが、「場合」の方が最初の仮定的な条件を意味します。

「及び」と「並びに」

両者とも、Andの意味です。「及び」の方が、最初の括り、小さな括りで使われます。

「又は」と「若しくは」

両者とも、orの意味です。「又は」の方が、最初の括り、大きな括りで使われます。

なお、弁護士は、このような表現を適切に使うよう訓練を受けています。

3.条文番号のチェック

契約書チェックをした後に、特に条文を削除、追加等した場合には最後に改めて確認する必要がありますが、条文番号が間違った場合は契約そのものへの影響がありますので、数字の順番を追うだけでもさらっとチェックしておきましょう。

交渉担当者に詳細部分のヒアリングをした後のリスクを洗い出す作業は、個別事情を踏まえてチェックしていくことになるためなかなか効率化ができませんが、そんなときに活用でできる想定リスクを洗い出すための方法例をご紹介します。

契約書チェックでゼロから想定リスクを洗い出す方法

なかなかないとは思いますが、もしもゼロからリスクを洗い出していかなければならない場合は以下のような手順を参考に洗い出していく方法があります。

事業のプロセスに沿ってリスクを想像していく

たとえば、商品を他社と共同で企画開発し、製造販売していく場合の流れに沿って考えてみます

1.商品開発

  • 技術情報の流出
  • 共同開発した成果についての権利(知的財産権)の帰属
  • 開発遅延の場合の取扱い(その場合の追加費用の負担)
  • 競合商品の発売による開発している商品価値の低下

2.製造

  • 他社の特許権、実用新案権等知的財産権の侵害
  • 共同開発している会社の倒産・債務不履行

3.販売

  • 販売売掛金の回収不能
  • 製品の欠陥による損失

実際に、商品開発していく流れに沿って、想像していくことで入れるべき条文を洗い出していくことができます。入れるべき文言は立場によって異なってきます。

さて、さらに契約書チェックを行う場合に、法的以外の観点で、最近注意しておいた方がよい点についてもご紹介します。

法的に問題ないは問題あり?レピュテーションリスクについて

「レピュテーションリスク」とは、風評によるリスクのことを指します。企業内の法務担当者の業務責任の範囲は、単に法的視点だけにとどまりません。リスクの想定の際に、独占禁止法違反や、下請法違反、景表法違反による業務停止命令や損害賠償支払いのリスクについて洗い出していると思いますが、実際にはそれが発生した場合も、しなかった場合も、マスメディアからの批判、ツイッターやSNSでの誹謗・中傷による、会社イメージの低下、顧客対応窓口の閉鎖、株価低下などもリスクとして想定しなければならない時代になりました。

たとえば相手先の従業員が「Twitterなどで、会社や製品の悪口を配信した」など、実際に起きることに対して法務担当者が直接働きかけることは難しいと思いますが、なるべく契約内容においてもそれらのリスクを想像しながら、配慮するべきでしょう。

コンプライアンスリスクのチェックについて

「コンプライアンス」とは、法令遵守のことを指します。法的適合性があることは当たり前です。しかし、世の中で「コンプライアンスを守る」といった場合の意味は、次の観点で多く用いられます。

  • 法的適合性
  • 社会的相当性

詳しく紹介されているページは多くあると思いますので、ここではポイントだけご紹介すると、昨今は、「企業の社会的責任(CSR)」という考え方を大切にしなければならなくなりました。特にインターネットの普及によって、どんな小さな出来事であっても一瞬のうちに社会に広まったり、顧客の独自の解釈で企業への悪評が増えたりすることが加速しています。これらによって売上や利益への影響が出るような状況です。また、法令を事後的に判断する裁判例もあります。企業活動は良心の範囲で行っていくべきものと考えられます。

契約書のチェックについて、視点や昨今注意すべき事項などをご紹介しました。

ここから、「AIを用いた契約書チェックの効率化について」ご紹介します。

契約書チェックをAIで効率化できるポイントとは

では、これらのようなポイントを踏まえてAIによってチェックの効率化が図れることとは一体どこでしょうか。

まず第一に、3つの重要なポイントのところでご紹介した、

  • 契約書チェックを丁寧にするべき箇所
  • 実際の取引の流れと合致していれば問題ない箇所
  • 裁判管轄など法務チェックが必要ではあるものの重要性は低い箇所

これらの区分けが自動的にできるところがあります。

ベテランの方であれば、条項を一目見れば上記区分けは判別できるかと思いますが、経験が浅いご担当者には有用な効率化となると思います。

その上で、まず、上記1点目の法務上重要なポイントや、2点目の重要性は低いが法務レビューが必要な箇所についての改定案や判断ポイントなど、これまで手作業等で見比べていた修正に際しての参考資料がAIツールの一画面で表示されるため、作業時間が短縮されここも効率化に資することになります。

なお、上記2点目の、今回の取引の実際の流れに即しているかの確認は、事案ごとの確認が必要になるものではありますが、同種取引が繰り返し行われる場合には、やはり機械でのチェックが効率的になってくるでしょう。

契約類型や雛形を用いた契約書のチェックに6割の時間が使われている

契約書チェックにおいて、担当者が時間がかかっている箇所とはどこでしょうか。ビジネスの現場では、自社の「ひな形契約書」というものをお持ちではないでしょうか。

契約類型の種類

ビジネスで多く使用されている契約書の種類は、以下のようなものがあります。

  • 「秘密保持契約書」
  • 「売買契約書」
  • 「代理店契約書」
  • 「雇用契約書」
  • 「顧問契約書」
  • 「賃貸契約書」
  • 「業務委託契約書」

など

これら契約類型を用いた契約書が数としても多いと思われますので、こういった契約書を効率的にチェックできれば、大幅に工数を削減することができるはずです。実際にベンチャーの企業の法務担当者に話を聞いたところ、仕事の約6割はこのような契約書のチェックに時間を費やしているという人もいました。

契約書チェックをAIを使って効率化する方法とは

はじめに、契約書チェックAIツールを使った場合の、契約書チェックおけるメリットをご紹介します。

契約書チェック作業におけるAI活用のメリット

  1. 欠落条項の自動チェックが瞬時にできる
  2. 条文番号の自動チェックで抜け漏れを発見できる
  3. リスク度の自動チェックで丁寧にレビューすべき箇所を素早く見つけられる
  4. 改定法令のチェックができる

契約書チェック費用におけるAI活用のメリット

  • 弁護士に契約書チェックを依頼する場合の1件あたりの費用と比較して安価にできる場合がある

こういったことが、法務専門にチューニングされたAIによってできるようになってきていますここからは、一つ一つのメリットをご紹介します。

AIによる契約書チェックの4つの活用方法

1.欠落条項の迅速な自動チェック

契約書雛型を隣に用意しながら、当該の契約書を一文ごとを比較している法務担当者も多いと思いますが、それらの違いをAIなら瞬時に指摘してくれます。また、抜けている箇所を発見した際に、他の契約書の同種条文をAIが表示してくれるので、参照しながら修正することができます。

2.条文番号の自動チェックで抜け漏れを発見する

条文番号を契約条項に引用しているときに条文番号が間違っていた場合、当たり前ですが、その条文は意味をなしません。誤字脱字以上の非常に重要なチェックポイントで、ミスは許されません。AIがそれらをチェックしてくれる機能を提供している場合もあります。Wordの条文チェック機能を活用しているケースもあります。

3.リスク度の自動チェックで丁寧にレビューすべき箇所を素早く見つける

AIによるチェックでは重要度を判別することができます。いままではベテランの人が行っていたようないわば目利きのような作業です。契約は、立場によって条文の書き方があります。強気、弱気、それぞれ自社に不利な言い回しを指摘し、リスクの度合いをAIが示してくれます。自社にとって有利な部分についても指摘されますが、それらはそのままにしておき不利な部分でかつ重要な部分などを修正することができます。また、修正案についても一般的に用いるべき条文を表示することができるため、参考にすることができます。

4.改正法令をチェックする

2020年4月1日に改正民法(債権関係)が施行されました。今回の改定によって法定利率、根保証契約、定型約款、譲渡制限特約付き債権などが改正されています(詳しくはこちらのコラムで解説しています)。こういった新たなルールについて常にキャッチアップしていくのは、大変だと思います。AIであれば、常に改正された法令をベースしてチェックをいっていくので、安心です。また現在進行中契約のチェックだけでなく、過去の契約書についてもファイルをアップロードすることで簡単に確認することができます。

AIによる契約書チェック費用におけるメリット

契約書チェックを弁護士に依頼したときにかかる費用相場

契約書をチェックする費用は件数あたりの場合もあれば、時間チャージである場合もあります。内容によって異なるのが実情ではありますが、件数単位であれば1件あたり3万円以上はかかるのが通常です。

AIによる契約書チェックは月額定額制

人の目によるチェックのメリットは当然ですが信頼できるということ、また修正案も記述してくれるので時間も削減できます。しかし、企業ごとに守るべき点やその契約の目的を説明し理解を深めてもらうためのやり取りも必要です。AIによるチェックの費用も各社によって違いますが、当社の「LeCHECK」なら、月額4万円で複数件の契約書チェックが可能です。

契約書作成時にもAIを活用できる

契約書チェックにおける活用のポイントをご紹介しましたが、契約書を作成する場合でもAIを活用できます。

契約書作成時に、自社過去契約書、雛形を登録しベースにできる

AIが契約書チェックする際に、一般的なひな形や自社の過去の契約書を辞書として用いるケースがあります。契約書を新たに作成する場合にも、類似した契約の条文を検索し、参考にしながら作成することができますので、効率的に作業ができます。

契約書チェックAIのデメリット

AIが法務専用にチューニングされたとはいえ、それらが提示する参考情報を元にしつつも最終判断は法務担当者が自分で行う必要があります。そもそも弁護士法72条には、弁護士もしくは弁護士法人以外は法的助言をしてはいけないというルールもあります。しかしながら、AIを活用することで、参考となる情報を集めたり、探したり、また例文を調査したりする時間が削減でき、検討しなければならない論点を十分に推敲する時間を確保することができるため、法務業務の質と同時に効率化を実現することが可能です。ただし、非定型の契約へは、まだまだAIで対応できないのが現状です。

最後に、契約書チェックAI以外にも広がってきているリーガルテックをご紹介します。

リーガルテックとは

最近、よく耳にする「リーガルテック」とは、IT活用した法務業務支援技術、もしくはサービスのことをいいます。法務業務の効率化を実現するために、たとえば、契約書の内容をAIがチェックを支援する「リーガルチェックAI」から、「契約書管理システム」、「契約フロー管理システム」、「電子契約システム」など、さまざまなものが開発されています。多くがインターネットを通じて利用できるSaaS(Software as a Service)というモデルで提供されています。高いサーバーなどのハードウェアに、ソフトウェアをインストールして使用する業務ソフトの形式とは違って、オンラインで契約すればすぐに使用開始でき、大きな設備投資も不要。また、ソフトウェアを一度インストールした後、最新版にいちいち更新するといった作業の手間もなく、随時更新された最新の状態のアプリケーションを使用し続けられるというメリットがあります。

いままで、法務業務は経験を積んだ担当者による職人的な世界で作業されてきました。しかしながら、これからの時代は今までの国内市場だけでは企業成長がなかなか望めません。これからは大企業だけではなく中小企業においても、新たなビジネスを世界で展開していく時代になるでしょう。そういった場合に、いままでの見識だけではなかなか判断することは難しい場面も増えてきます。リーガルテックを使うことは、法務業務における集合知をうまく活用していくことともいえます。

まとめ

契約書チェックを効率化する道

契約書チェックは、リスクを回避するために行うのですが契約書の内容を全て真剣に読んで、条文の箇所それぞれにコメントをしても、交渉担当者がチェックすべきポイントが増えすぎて商機を逃すことにもなりかねません。また、外部の弁護士にチェックしてもらった場合でも、場合によっては全部についてたくさんコメントが入っている場合もあり、ここが契約書チェックの難しいところですが、やはり契約の目的や実情を把握している人が主体となってチェックしなければ、どうするべきかの判断ができないところがあります。

法務担当者は、法務AIをうまく活用してその契約書の重要な部分を抽出し、リスク判定を活用しながら、捨てるべきところと直すべきところを取捨選択して、時には専門家の助言を取り入れながら、契約書をチェック修正していくということが効率化への道です。

また、すべてに相手がいる、というのも契約書チェックという業務の特徴です。だから、契約書チェックを効率的に行うためには、交渉担当者や先方担当者とのコミュニケーションを円滑にすることが重要です。そして、ここは人が最も得意とするところだと思います。


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