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下請法

下請法における親事業者側の禁止事項

2020.04.17

今日は下請法の第3回目です。(その1その2「親事業者側の禁止事項」をご説明します。

4. 禁止事項

下記に列挙するような、親事業者の禁止事項に該当する行為については、たとえ下請事業者と合意していたとしても、親事業者に違法性の認識がないとしても、下請法違反となります。

(1)受領拒否の禁止

下請事業者に責任がないのに発注した物品等を受け取らないことは禁止されます。

発注元の都合による仕様等や生産計画の変更を理由として、下請事業者の給付を受領しないことが当たります。「発注した後に仕様を変更したので、それに合わせたものを作り直さないと納品は認めない!」、「納品を認めないから、代金も支払わない!」という事態を許さないものです。

また、「下請事業者に責任がないのに」ということですから、親事業者の取引先の都合による受領拒否も禁止されます。例えば、親事業者が、その取引先から納品延期を求められたから、とか、取引先が倒産したから、といった理由で下請事業者の給付を受領しないことも禁止されます。

なお、「受領しない」には、発注を取り消すこと(契約を解除)によって給付を受け取らないことや、当初定めた納期を延期することにより、当初定めた納期において給付を受け取らないことも通常含まれます。

(2)下請代金の支払遅延の禁止

親事業者は、下請事業者の給付の内容について検査するかどうか、検査が完了したかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わないと支払遅延となり、下請法違反となります。そして、支払遅延があった場合、親事業者は遅延利息を支払う義務があります。

ここで起算点となるのは受領(検査実施の有無を問わず、目的物を事実上の支配下に置くこと)した日であって、検査着手日とか、検査完了日ではありません。また、検査未了であっても、支払遅延となります。役務提供委託の場合は、役務を提供した日であって、役務提供についての報告書等が提出された日ではありません。

 

自社の事務手続の都合や、下請事業者からの請求書の提出の遅れがあったとしても、受領をした日から60日以内の支払期日までに支払わないと支払遅延となります。親事業者としては、支払期日までに支払ができるように請求書を提出するよう下請事業者に催促する必要があります。

(3)下請代金の減額の禁止

親事業者が、下請事業者の責任がないのに、発注時に定めた下請代金の額(発注時に交付する書面に記載の金額)を減額することは禁止されます。親事業者やその取引先の業績の悪化や予算の削減等による下請代金の減額はもちろん、「歩引き」、「リベート」、「協賛金」、「奨励金」、「販売促進費」、「協力費」等の名目を問わず、また、慣行であったり下請事業者との合意があるとしても、下請事業者の責任がないにもかかわらず下請代金を減額することは禁止されます。

(4)返品の禁止

親事業者は、下請事業者に責任がないにもかかわらず、受領した目的物を返品することは禁止されます。親事業者やその取引先の生産計画の変更等により在庫が余ってしまったから返品、とか、シーズンが終わって売れ残ったから返品、とか、取引先からキャンセルされたから返品、なんていうことは禁止されます。

受領前段階の下請事業者の保護として「受領拒否の禁止」が、受領後の下請事業者の保護として「返品の禁止」が位置付けられます。

また、受領した目的物に瑕疵があった場合に「下請事業者に責任がある」として返品するにおいても、返品までの期間が制限されます。直ちに発見できる瑕疵の場合、受領後速やかに返品する必要があり、受領後放置していると返品の禁止に該当します。また、直ちに発見できない瑕疵であって6カ月以内に返品する必要があります。

なお、親事業者側の義務事項、禁止事項のまとめは以下の通りです。

義務事項 (1) 書面の交付義務
(2) 書面の作成・保存義務
(3) 下請代金の支払日を決める義務
(4) 遅延利息の支払義務
禁止事項 (1) 受領拒否の禁止
(2) 下請代金の支払遅延の禁止
(3) 下請代金の減額の禁止
(4) 返品の禁止
(5) 買いたたきの禁止
(6) 物の購入強制・役務の利用強制の禁止
(7) 報復措置の禁止
(8) 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
(9) 割引困難な手形の交付の禁止
(10) 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
(11) 不当なやり直し等の禁止

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