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対談

一人法務に必要なスキルとその向上方法とは?【対談セミナー書き起こし】

2024.11.14

中小企業では、法的人材の不足から、会社の法務業務を一人の担当者が受け持つ「一人法務」の方が多いのではないでしょうか。

一人法務では幅広い業務を一人でカバーするが故に、裁量と責任が大きく広範な法的知識と確かなスキルが求められます。では、一人法務には具体的にどのようなスキルが必要で、多忙な中そのスキルを磨いていくにはどのようにすれば良いのでしょうか?

株式会社リセでは株式会社マネーフォワードと、一人法務を含めた法務パーソンのスキルアップに役立つセミナー『若手法務の2人が語る!自分の強みを生かしたキャリア形成と自己実現』を共催しました。

同セミナーでは、ブログやSNSで積極的に法務業務について情報発信をし続けている“法務のいいださん”こと、LAPRAS株式会社法務部門責任者の飯田裕子氏と、株式会社マネーフォワード法務コンプライアンス部リーダーである吉田成希氏が、より良い法務パーソンを目指すための心掛けやスキルアップ、キャリア形成などについて対談を行いました。

本記事では同セミナーから、一人法務に必要なスキルとその継続的な向上方法について、内容を一部抜粋してご紹介します。 (記事作成にあたり、内容を一部補完・改変しております。)

【セミナーから一部抜粋】一人法務スキルの継続的な向上方法

法務パーソンにとって必要なスキルとは?

吉田氏:一口にスキルと言ってもいろいろありますね。私はまずインハウスとして、運用を決められる能力が大切だと最近改めて思っています。他にはコミュニケーションの部分で、前提事実をきちんとヒアリングして揃えられる事実確認力。
あとは条文をちゃんと読める力。大きくはこの三つが軸になってくるのかなと思います。飯田さんは法務パーソンに必要なスキルについてどうお考えですか?

飯田氏:私の場合は大前提として、インハウスでもなければ弁護士資格もないので…特に一人法務ということもあって、弁護士の先生に聞けば何とかなる部分よりも弁護士の先生を含む、社外の人ではどうしようもない部分のスキルを先に身に付けることが大事かなと思っています。

インハウスではないからこその戦略として、特に重視しているのはやっぱりコミュニケーションですね。法務のスキルというかビジネスマンのスキルとして、相手に嫌われない、相手から必要な情報を引き出す、そして相手に必要な情報を伝える、これらのコミュニケーション能力は大事だと思っています。

法務は法律を相手にしていると思われがちですが、実際に相手にしているのは人じゃないですか。社内もメンバーもお客さんも人なので。相手が法人の場合もありますけど、その場合もコミュ二ケーションを取る相手はやっぱり人ですよね。
そういう意味で、ビジネススキルとしての適切なコミュニケーション能力をまずはちゃんと伸ばしていかないとと思っています。

それ以外では要件を把握して当てはめる力のようなところですね。ある程度何かを定義してそれに事実を当てはめて、それらのギャップに対しての解釈を出すことも法務に必要なスキルだと思います。

それをやるためには最初の枠組み――つまり法令の理解も含めての理想の姿や本来こうあるべきイメージを作れる力、そして今がどういう状況かを把握できる力、そしてそれらの差異に対してどうアプローチするか、どうやったらそのギャップが埋まるかを考える力が必要です。
この辺の思考の枠組みは法務独特なので、いわゆるリーガルマインドと言われるような考え方がすごく大事だと思っています。

吉田氏:きちんと定義をしてその定義に事実を当てはめたり、定義と事実とのギャップを埋めることが大切で、どのような基準で判断するのかなどルール作りをしていくことも法務にとっては重要だなと今お話をしていて改めて思いました。

そのスキルを身に付けるため、磨いていくために努力していることは?

飯田氏:私の場合は、情報を集めるためにとにかくいろんな人に会う、仲間を集めるというのがまず一つです。具体的には法務パーソンのコミュニティに参加したり、自分のイベントを開いたりして社外の人と交流するようにしています。

法律知識や判断の部分は、どうしてもダメだったら最後は顧問弁護士の先生に手伝ってもらうこともできるので、情報収集さえできていればその後は何とかなると思っていて。 とにかく自分のところに情報をちゃんと集めなきゃ、という意識があってこういった活動を積極的に行っています。

また、一人法務だと自分の実力がわからないという問題もあるので、社外の法務パーソンと交流することは視野を広めて自分の強み弱みを知りポジションを確立する上でも有益です。

同じく情報を集めるために本もいろいろ読みます。平日の夜に勉強会をやって、土日には一人で勉強して。最近は会社法の条文を一から全部素読し直していて、SNS等では表に出さないですが、こういう地道な努力もちゃんとやっているかなという感じです。

あとは、最近コーチングを受け始めました。コーチングでは、自分がどうなりたいか、そのために今自分が何をすべきかを言語化して、ちゃんと一カ月間の目標に向かって走るというPDCAをここ数カ月回しています。そのおかげで、正しい努力ができている感じがありますね。

吉田さんはどんなことをされていますか?私以上にすごく勉強されているイメージですけれど。

吉田氏:勉強量は負けていないかも知れません(笑)。私の場合、翌週の自分を助けるために週末勉強しようという意識を持っています。
例えば、来週個人情報の込み入った相談が来るかもしれない、じゃあ週末に基礎的な薄い本と重めの分厚い本を一、二冊読んでおくか、といった勉強の仕方を結構していて。

他の例だと、取締役会の運営について上司から他社事例や法令の確認依頼があるかもしれない、だから会社法の勉強をし直しておこう、商事法務から出ている実務に関する他社アンケートが載っている本をちゃんと見ておこうという風にインプットを行っています。条文の素読は久しくやっていないので、今お話を聞いてやらないといけないなと思いました。

飯田氏:確かに、業務で使いそうなものの方が勉強するモチベーションが湧くんですよね。私も去年、「来年くらいから機関設計をやるだろうから、今年一年間は会社法の充填期間にしよう」ということをやっていました。ところで、吉田さんは勉強のための本はどうやって選んでいるんですか?

吉田氏:Xで流れてきた本は絶対買うようにしています(笑)

飯田氏:私も同じです。後で使うかもしれないので、話題になっている本はとりあえず買って本棚に置いておくようにしています。

吉田氏:買った本は仮に読まなかったとしてもきっと財産になるはずです。「一度でも開けばその本を買った価値があるからそれでいい」とある弁護士の先生もおっしゃっていたので、これからもこのマインドで書籍の購入は惜しまないようにしたいと思っています。

法務業務で生産性向上のために重要視していることは?

吉田氏:勉強やスキルアップの時間を作るためにも業務の生産性を上げていくことが必要です。

当社では、業務をできるだけ効率化しようとツールをいくつか入れています。例えば、当社で提供している「マネーフォワード クラウド契約」という電子契約ツールを使っていますし、ナレッジ管理やタスク管理は「Slack」のワークフローとタスク管理ツールとを連携させて対応しています。

あとは、法律専門家向け文書エディタもありますね。業務量管理、ドキュメンテーションの効率化や稟議の効率化などにツールを活用している体制です。 LAPRASさんでは、生産性向上のために何かツールを入れたりはされていますか?

飯田氏:実は結構入れています。一人じゃ回らないので(笑)。 電子契約も入れていますし、契約書審査にはリセさんの「リチェック」をずっと使っています。

リチェックで特によく使うのは文書比較機能です。弊社は契約書を比較する件数が多いので。業種上人材紹介の契約書を多く扱うのですが、その際に細かい修正が入って来たり、お客様側で用意した契約書雛形をベースにやり取りしたいという依頼が多かったりすると、受け取ったものが前のバージョンと変わっていないかという比較業務が1日に結構な量起きます。
「リチェック」を使うことでその分の時間短縮になっていますね。

それ以外のツールとしては、下請法やフリーランス保護新法などの対応が結構大変なので、業務委託の発注管理のツールも入れてもらっています。あとはナレッジマネジメントのためのドキュメントツールもがっつり使っています。

吉田氏:いろいろと活用されていてうらやましい。ちなみに、「リチェック」を導入されているとのことですが、文書比較機能の他に契約書レビュー機能も使われていますか?

飯田氏:すごく長くて読む気が起きない契約書などは「リチェック」の契約書レビューにかけています。そうすると契約書のリスク箇所にマークが付いて条項に強弱が付くので、読みやすくなるんです。
チェック結果は自分で読むときの参考になりますし、欠落条項のチェックも役立っていると思います。ただ、完全にシステムに任せることはなくて、本などを参照しながら自分でもレビューはしますね。

吉田氏:なるほど。弊社でも生産性を向上できるリーガルテックの導入を検討していかなければいけないなと思っているので、参考にさせてもらいます。

まとめ

以上、一人法務に必要なスキルとその継続的な向上方法についてセミナー内容からお伝えしてきました。セミナーの中でも言及がありましたが、多忙でスキルアップの時間が作れない一人法務の方は、リーガルテックツールを導入して業務を効率化するのも一つの手です。

株式会社リセでは、契約書レビューがAIで瞬時にできる契約書レビューサービス「リチェック」を提供しております。「リチェック」は多数の企業様で、中小企業・一人法務の業務効率化や契約書のダブルチェックにご活用いただいています。リーガルテック導入をお考えの方、業務を効率化したい一人法務の方はぜひ、弊社「リチェック」の資料請求や無料トライアルをご検討ください。

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