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景品表示法

何がダメ?「100%メロン味」~景品表示法について~

2024.02.27

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CHECK POINT

今回は実際にあった事例から、商品のキャッチフレーズを考える際に気を付けたい「景品表示法」の「不当表示の禁止」について、ご紹介いたします。

2022年9月6日、キリンビバレッジが販売する「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」の容器に書かれていた「厳選マスクメロン」、「100% MELON TASTE」というキャッチフレーズに対し、消費者庁から、景品表示法違反(優良誤認)であるとして、再発防止などを求める措置命令が出されました。

(なお、キリンビバレッジは「お客様に誤解を与えるようなパッケージ表示を行ったことに対し、深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表し、現在では、パッケージの表示も変更されています。)

この「厳選マスクメロン」、「100% MELON TASTE」というキャッチフレーズの、いったい何が問題だったのでしょうか?

景品表示法とその規制内容

景品表示法では、大きく分けて2つの規制が規定されています。つまり、①「不当表示の禁止」②「景品類の制限及び禁止」です。

「不当表示の禁止」とは、品質や内容等を偽って、良く見せかける表示を行うことを禁止することで、品質の良くない商品・サービスを購入してしまう不利益から消費者を守ること、​​​​「景品類の制限及び禁止」とは、過大な景品類の提供を制限または禁止することで、景品類につられて、商品・サービスを購入してしまうことから消費者を守ることを、それぞれ目的としています。

今回のキャッチフレーズは「不当表示の禁止」に関連しますので、今回は、「不当表示の禁止」について、詳しく説明します。

不当表示の禁止

「不当表示の禁止」とは、「うそや大げさな表現など、消費者をだますような表示を禁止」することである、と消費者庁のパンフレットでは説明されています。

そして、「不当表示」には、大きく分けて3つの種類があります。​​​​​すなわち、①優良誤認表示②有利誤認表示③その他誤認される恐れのある表示、の3種類です。

「優良誤認表示」とは、「商品やサービスの品質、企画などの内容について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示」をいう、とされています。

そして、「合理的な根拠がない効果・性能の表示は、優良誤認表示とみなされる」、とされています。

「有利誤認表示」とは、「価格を著しく安く見せかけるなど、取引条件を著しく有利に見せかける表示」をいう、とされています。例えば、販売価格よりも高い、別の価格を併記してあたかも一般の価格よりも安い、と誤認させるような手法が、これに当たります。

「その他誤認されるおそれのある表示」とは、優良誤認表示、有利誤認表示以外にも、「商品又はサービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認される恐れがある表示」を言います。この、「その他誤認される恐れのある表示」の例として、パンフレットでは6つの告示が紹介されています。

本件「厳選マスクメロン」、「100% MELON TASTE」というキャッチフレーズは、結局何が問題だった?

今回の問題は、不当表示のうちでも「優良誤認表示」と判断されたケースです。「優良誤認表示」の判断基準は、「商品の品質等の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される」表示、といえるかどうか、です。

そして、優良誤認表示にあたるか否かは、「商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容などを基に、表示全体から判断」されます。

今回問題となったパッケージには、「厳選マスクメロン」、「100% MELON TASTE」というキャッチフレーズ、及び「濃縮果汁 メロンテイスト 果汁100%」と果汁の表示がなされていました。

このトロピカーナシリーズは、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、リンゴ、ブドウ、パインなど、他のシリーズでは、当該果物の果汁100%で販売されている商品が非常に多いです。

また、一般消費者の中には、「厳選マスクメロン」、「100% MELON TASTE」というキャッチフレーズ、及びメロンのイラストと合わさって、「果汁100%」と言われると、メロン果汁100%(または、ほとんどの果汁がメロン果汁である)、と誤解してしまう消費者もいるであろうことは、想像に難くありません。

このような前提から、今回問題となったパッケージが、一般消費者に対して、(実際にはメロン果汁が100%ではないのに)あたかも「メロン果汁が100%である(または、ほとんどの果汁がメロン果汁である)」、との誤認を生じる可能性が高い、と評価されたもの、と考えられます。

さらに、今回の商品は、確かに果汁100%ではありましたが、実際には、ブドウやリンゴ、バナナの果汁が約98%を占め、メロン果汁は2%ほどであった、ということでした。

このような実際の果汁の割合からすると、メロン果汁が原材料の大半を占めるかのような誤解を招く上記の表現は、実際の商品よりも優良な品質であるとの誤認を招く表示であった、ともいえます。

もちろん、キリンビバレッジとしても、「MELON TASTE」という表現を用いたり、メロンのイラストのみならず、リンゴやマスカット等のイラストもパッケージデザインとして描いたりしていました。

しかし、やはり、表示全体から見て、また、一般消費者が受ける印象からすると、今回の表示は、メロン果汁が大半を占めているとの誤認を招く、「優良誤認表示」として判断をされてしまった、といえるでしょう。

まとめ

自社製品に、自信と誇りを持っていれば持っているほど、より良いキャッチコピーとともに売上、販売数を伸ばしていきたい、と感じるところも自然な感情といえます。一方で、景表法にも気を付けていなければ、せっかくの商品の魅力が、「一般消費者に誤認を招くもの」と評価されてしまうことにもなります。

自信と誇りを持っている自社製品であるからこそ、今一度、不当表示にならないように、ご確認なさられてもよいかもしれません。

※なお、本稿で引用した、消費者庁から公表されているパンフレットは、以下のリンクからご確認いただけます。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/index.html#pamphlet
『事例で分かる景品表示法(平成28年7月改訂)』

※本記事は、2022年10月時点の情報をもとに記載いたしました。

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