法務サポートコラム

民法改正・瑕疵担保責任の見直しがされます

2020年03月06日配信

売買契約をしたけど、引き渡された目的物に隠れた瑕疵があったり性能が不足していたり数量が不足していた場合、買主は売主に対してどのような請求をすることができるか、売主はどのような責任を負うか、のルールについて、今般の民法改正で見直しがされます。

 

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下の事例で考えてみましょう。

 

A社はある用途のために一定の強度・精度の建築資材が必要となり、B社からそのような強度・精度の建築資材を仕入れる契約を締結しました。B社はA社に建築資材を引き渡しましたが、納入された建築資材は、契約で定められた強度・精度を満たさない不良品でした。

このような場合、A社としては、B社に対してどのような請求をしたいでしょうか。

①「契約で定めたとおりの強度・精度のものを改めて引き渡してほしい」?
②「B社で強度と精度の修理することができそうだから、修理してほしい」?
③「今回受け取った資材は別の用途に使うけど、この程度の資材であればもっと安かったはずだから、代金を減額してほしい」?
④「こんな資材では他に使い道がなく、資材は返すから代金を返してほしい。契約を解除したい」?
⑤「予定していた用途に使うことができず損害を被った。損害賠償してほしい」?

 

①は代替物引渡請求、②は修補請求、①と②を併せて追完請求、③は代金減額請求、④は契約の解除、⑤は損害賠償請求に当たります。

 

改正前の民法では、買主が④契約の解除や⑤損害賠償請求をすることができることには争いがありませんでしたが、①代替物引渡請求や②修補請求についてはそもそも可能であるのか、また、どのような場合に可能であるのかについて争いがあり、また、③代金減額請求については限られた場合しか認められていませんでした。

 

もっとも、買主としては、きちんとした代替物を受け取れたり、修補してきちんとした目的物にしてもらえれば契約をした目的を達成できて満足しますし、また、受領した目的物の性能には満足できないが性能に見合った金額に代金を減額してもらえればよい、と考えることもあるでしょう。契約の解除や損害賠償請求だけが問題の解決方法としてふさわしいということでもないわけです。

 

そこで、改正後の民法では、以下のとおりとなりました。

①現行法の「隠れたる瑕疵」の場合の責任について、目的物が「契約の内容に適合しない」場合の責任に再構成されました。そのため、これまで「瑕疵担保責任」と呼んでいた責任について、「契約内容不適合責任」というように、契約書の条文の記載も変更されるでしょう。

➁追完請求及び代金減額請求も可能とされました。
③改正前と異なり、不適合について善意無過失であることは要求されていません。
④損害賠償については、不適合についての売主の帰責事由が必要とされました。
⑤買主がこれらの請求をするためには、引き渡された目的物が契約に適合していないことを知ってから1年以内に、売主にその旨の通知することが必要です。

 

上記を、種類、品質に不適合があった場合の請求手順からまとめると以下の通りです。

 

① 通知
種類、品質の不適合について知った日から1年以内に売主に対して通知(数量が足りない場合は期間制限なし。)。

 

➁-1:追完請求
買主は、(i)目的物の修補、(ii)代替物の引渡し、(iii)不足分の引渡しといった追完の請求ができる。

 

➁-2:代金減額請求
買主は、不適合の場合、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がない場合には代金の減額請求ができる。(追完が不可能な場合など、催告不要で現ザク請求できる場合もあり。)

 

➁-3:損害賠償請求
買主は、不適合により損害を被った場合には、売主に帰責性がある場合に限り、損害の賠償請求ができる。(損害賠償のみ売主の帰責性必要。)

 

 

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